サラリーマンFPのつぶやき

~会社員をしながらFPとして活動しています~

厚生年金 パート適用拡大でパート収入はどうなる?

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先月のニュースで、厚生労働省が厚生年金に加入するパート労働者の適応対象を拡大する検討をしていることが伝えられました。

www.nikkei.com

2020年に関連法案の提出し、最短で1年後の施行を目指しているようです。

現在検討されている内容としては、

➀月収要件8.8万円(年収106万円)⇒6.8万円(年収82万円)へ引き下げ。

➁企業の従業員数の撤廃。

となっており、本案件が施行されると約200万人が新規加入すると見込まれています。

これまで、いわゆる106万円の壁』で収入調整していたパート主婦にとって負担増となります。一方、厚生年金に加入するため、65歳以降に厚生年金を受給できるといったメリットもあります。

そこで、厚生年金パート適用拡大で、パート収入がどのように変かわるのか、また、年金がいくらもらえるのかを試算し、見解を述べたいと思います。

年金制度の種類

まず、年金制度の種類を確認します。年金には3種類あり、働き方によって加入する年金制度が決まっています。

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自営業やフリーランス、学生は第1号、会社員、公務員は第2号、そして第2号被保険者の配偶者は第3号被保険者となります。パート主婦は第3号に該当する方が多く、一定以内の収入であれば社会保険料の本人負担はありません。

収入の壁

『103万円の壁』って聞いた事ありませんか?これは、所得税が非課税、かつ配偶者控除が受けられる上限値です。つまり、配偶者の収入が103万円未満であれば、所得税が発生せず、かつ世帯主の収入に配偶者控除が適用されるため、結果、世帯の手取り収入が増えるというものです。

ちなみに、配偶者控除については、今年(平成30年)から150万円の壁に引き上げされています。(配偶者特別控除の拡大)

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出展:国税庁

実は、収入の壁には103万円の壁以外にもいくつかの壁が設けられています。以下に収入の壁をまとめました。

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最初の壁は93万円の住民税です。住民税は定額の「均等割」と所得に応じて税額が変わる「所得割」で構成されています。ここで、100万円未満では「均等割」分のみ課税され、100万円を超えると「所得割」分が追加課税されます。

次に103万円の壁です。ご存知の方も多いと思いますが、この壁を超えると所得税が課税されます。そのため、収入を103万円未満に抑えてパート働きされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

さらに、今回のキーワードである106万円の壁。これを超えると社会保険料の負担が発生します。ただ、条件があり、

◆勤務時間が週20時間以上

◆1カ月の賃金が88,000円(年収106万円)以上

◆勤務期間が1年以上見込み

◆勤務先が従業員501人以上の企業

◆学生以外

これらを満たした場合、負担する必要が出てきます。また、この条件に該当しない場合は、130万円の壁を超えた際に負担が発生します。

最後に150万円の壁。これを超えると配偶者所得控除が減額します。段階的に減額され、201万円を超えると控除されなくなります。

では、検討案が施行されたら収入の壁はどのようになるのか、次項で説明します。

106万円の壁⇒82万円の壁。130万円の壁は撤廃?

今回の検討案が施行された場合、収入の壁は以下の様になります。

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配偶者の収入が82万円を超えると、社会保険料の負担が発生します。また、130万円の壁が廃止されると予想しています。理由は、130万円の壁を成立させるためには『勤務時間を20時間未満に抑える』必要があります。130万円の月収は約108,000円で、それを20時間未満の勤務時間で稼ごうと思ったら、時給5400円で働く必要があります。現実的ではありませんね。(中にはそういう仕事もあるかもしれませんが・・・)

パート収入への影響

では、実際にどのくらい収入に影響するのか算出します。

条件は以下の通りです。なお、住民税の均等割は東京都(1級地)とします。

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まず、現在の制度の場合です。

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収入102万円に対して、住民税9000円(収入の0.9%)が徴収され、手取りは101万1000円となります。

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一方、検討案施行後(82万円の壁適用後)は、住民税の他に社会保険料(収入の15.3%)が徴収され、手取りは86万4000円となります。14万7000円も手取りが減るとなれば、少なからず生活に影響が出てくるのではないでしょうか。

厚生年金加入で年金はいくらもらえる?

社会保険料負担で手取りは減りますが、一方で65歳から厚生年金が受給できます。では、いくらもらえるか試算してみます。条件は先程と同じで、30年間保険料を納めた場合とします。

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試算の結果、年間167,700円+定額部分(老齢基礎年金に相当)が受給できる事がわかりました。定額部分(老齢基礎年金に相当)は第3号被保険者も受給できますので、厚生年金加入による年金増加分は167,700円となります。

また、30年間納めた社会保険料の払込総額を何年で取り戻せるか試算しました。

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社会保険料の払込総額は441万円に対し、年金増加分167,700円/年 を65歳から受給したとすると、90歳を超えた場合(26年後)に払込料と受給額が逆転します。長生きすればするほどお得ですね。(白目)

まとめ

厚生年金のパート適用拡大により、手取り収入が減る可能性があります。お金がかかる子育て世代にとって、生活に何らかの影響を及ぼしそうです。一方、厚生年金加入によって年金が増加し、長生きすればするほどお得といったメリットもあります。

私の見解ですが、仮に本案を通すならば任意加入にすべきだと思います。生活スタイルは各家庭それぞれです。もちろん、老後資金が重要なのは分かりますが、今の生活の負担を増やしてしまっては本末転倒です。

厚生年金加入にメリットを感じるなら加入する

といった選択を持たせる法案を望みます。

今回記述した内容は、現段階で分かっている内容から見解を述べたものです。今後、検討が進む中で、詳細が分かってくると思いますので、引き続き注視していきたいと思います。